最高裁判所第三小法廷 昭和28年(オ)463号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔要旨〕強制疎開の命令を受けた建物がその除却前に罹災したとしても、これをもつて戦時罹災土地物件令第四条にいう滅失といえない。
〔解説〕罹災建物の賃借人は戦時罹災土地物件令第四条によりその敷地につき使用権を有するが、強制疎開の命令を受けた建物の賃借人は、その建物の除却前に罹災した場合にも右法条によりその敷地使用権を有するであろうか。この場合でも建物が罹災により滅失したものであることは間違いがない。しかし強制疎開は、戦時防空上の必要からその地上に建物の存在を許さないためなされるものであり、従つてその疎開跡地を再び使用せしめては強制疎開の意義を失わしめる。この点では単純な罹災跡地と同一に論ずることはできない。それ故に強制疎開の目的建物が偶々罹災により滅失しても、それはいわば疎開の目的を達したと同様の結果となつたといいえても、その滅失を物件令第四条による滅失としてその敷地の使用を許すことはできない。本判決はこの理を宣明して原判決の見解を支持した。
(長谷部調査官)